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ラックスができるまで - その1

ラックスが2010年に市場に出てから約10年経ちました。
花自身の魅力もありますが育てやすいので、まだ高価ではありますが、沢山の品種を集めている方も多いと聞きました。 3月末に終了した見本園にも、わざわざ遠い所から来ていただき、まだ持っていない品種を求められる方も多くいました。

ラックスの特徴はなんと言っても、花弁の光沢とスプレー咲きで多花であることです。

これから数回に分けて、ラックスができるまでとその後の小話をしたいと思います。
ラックスを初めて見た人から「どうしてできたの?」と聞かれることがよくあります。
そう言われるのは、ある程度の年も重ねて大抵の花は見ているという趣味の方です。
自分の知らない花がたくさんあると思っている男性や若い女性は「こんな花があるんですね、
とても綺麗ですね。」と嬉しいことだけ言ってくれます。
また花を職業にしている専門家は、育種をしてできたと知っているので「すごいものができたね。」
と褒めてくれます。(そのあと嬉しいことだけを言ってくれないので困ります。)
一般には「育種」という職業は日本に存在していないくらい珍しくて、新品種は公的試験場か海外大企業がつくるものと思われているので、突然変異でできたと思う人も多いです。 実際、私の作った品種のなかで突然変異からできた系統もあります。しかし多くの変化は交雑からのもので、その中の注目すべき変化した特徴を更にすすめる交雑をすることで品種ができます。いろいろ出てきた変化のどれを選びどれを捨てるか。 簡単に言うとそういうことで、自分の好きなように選んでいく作業です。 「育種は誰にでもできる」と私の父が生前話していました。「選ぶためには頭の中に完成形を描くことが必要である」と。
それを聞いた若い私は「そんな完成形を描いてもそうそうできるものではない」と理解できずにいました。
自他ともに認める音痴の私には「ピアノに向かって好きなように音を選んでいけば曲ができるよ。頭の中にイメージがあれば誰にでもできる」と言われたような・・  ラックスができて父が言っていた意味を解釈しなおしました。完成形は完全な出来上がりのものではなく、どんなものかわからないけれど求める条件を備えているもので、常にそのことが潜在的に身体に住み着いているとチラッと目をかすめたものに注意がいくのです。 自分でもなぜそれを選んだのか分からないのです。今までは向こうから呼んでいるとか、出てきたとか、植物の方が勝手に変化してくれるとかいう話になることもあります。
改めて「なぜラックスができたか」を思い返してみると、潜在意識に入り込んだ出来事を思い出しました。
次回からその話をします。


2019/4/18 更新

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