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Ranunculus Breeder

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ラックスができるまで - その3

植物の品種改良の結果、用途によって品種が違うというのは果樹や野菜でよく知られているように思います。(ブドウは生食向きとワイン向きは違うなどのように) ところが花では、立派な花をつけているためでしょうか、赤いカーネーションの鉢植えは切り花と同じ植物(品種)と思っている人が本当に多いです。
ラナンキュラスも「アヤリッチ(当社の鉢物系品種)の切り花をください。」や「エムピンク(切り花系品種)の鉢植えをください。」という問い合わせが毎年数件あります。
余談ですが、これは日本の盆栽文化と関係があるかなと思いました。何でも鉢植えにして小さく作ることが珍しくない日本では大きさは自由に変えられるものだという感覚があるかもしれません。
実際に無理をすれば出来なくもないのですが商品価値が問題でしょう。 前置きが長くなってしまいましたが、宮崎に来た当初からラナンキュラスの育成には切り花向きと鉢花向きの二刀流(野球少年だった私は
大谷選手も尊敬)で取り組んでいました。
切り花が売れていなかった頃、鉢花は売れていたのですが残念な性質がありました。父が育成した「ドワーフビクトリア」は花が大きく超八重で花弁がたくさんあり、特にバイカラー(2色咲き)は人気でしたが、
大きな花が1個なくなると急に寂しくなってしまうのです。市場や花屋さんの店頭で倒れて折れたら最後、
泣くに泣けません。買って帰ったお客さんもうまく手入れをしないと次の花が咲かず、「難しい花」に分類されていたと思います。
そこで鉢物ラナンの育種の目標は、花茎がたくさん立つ系統ということで選んでいき、できたのが
「アヤリッチシリーズ」です。宮崎県の生産者も多く作ってくれるようになりました。

 アヤリッチ イエローと バイカラーピンク

そんな折、宮崎フラワーフェスタの会場に植える機会がありました。雨が心配だったのでプランター植えにしてもらいました。オープニングセレモニーの日、会場は今にも降り出しそうな空の下で私は気が気ではありませんでした。 なんとか式が終わるまで大丈夫だったもののその後大雨となりました。プランター植えにしてもらったのはこんな時に屋根の下に取り込むためだったのですが どこにも屋根はありません。
しかし「あとはまあ、仕方ないでしょ」とそのまま帰ってきました。 フラワーフェスタは1か月続きますが、当時の納品の査定は開幕日の状態で決め られていました。そのため、一緒に出したすぐに咲く蕾がびっしりとついたブルーデージーの 苗は最高の出来でしたが、驚いたことに咲いていないという理由で減額されました。 そのことにムッときていた私は「あとは野となれ山となれ」とラナンキュラスをほっておいた(忙しかったし)と思われます。 ところがブルーデージーは咲いてから多くの人に絶賛されました。いちばん褒め てくれたのは減額した担当者でした。ラナンキュラスは全く逆でした。雨で傷ん だ花は早めに手入れされ(除かれて)、酷くはなかったものの見るべき花が少なくなってし まったのです。わかっていたことですが、万重咲きのラナンキュラスの雨に対する弱点をブルーデージーの絶賛で再確認したのです。


2019/4/22 更新

以前の記事

  • 2019/04/19
    ラックスができるまで - その2
  • 2019/04/18
    ラックスができるまで - その1
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